基本内容
~1.8兆円の再分配による少子化の緩和と非正規の解放~ この世界で生き続けること、その全てを愛せる様に、祝福を君に はじめに 2022年の合計特殊出生率は、過去最低の水準にまで落ち込む。これは、経済的にも、社会的にも危機的な状況だ。子世代が1.67倍も…
厚労省のスーパー官僚だった山崎史郎さんが書いた『人口戦略法案』は、いわゆる「こども保険」の構想であり、新たな社会保険の導入により、育児休業給付を大幅に拡充して、少子化を克服しようという内容である。1/1に内閣官房参与に任じられたらしく、これが…
「少子化は意識や文化の問題」とする人がいるのだが、ありていに言えば、カネの問題だ。経済より、意識や文化はゆっくり変化するものなので、意識や文化の遅れが原因に見えてしまう。原因は、経済に発する。意識や文化を経済に適応させるのも大切だが、それ…
昔、母に「偉い作家さんが、食糧危機に備えて、米を自宅に蓄えているそうだ」という話をしたことがある。食糧難を経験した母は感心するかと思いきや、「その作家さんは、ご近所に隠れて、ご飯を食べるつもりなのかい?」と返された。なんだか、自分だけが助…
欧米で最大の社会問題は、若年失業と就業促進だ。それゆえ、負の所得税やベーシックインカムが提案される。しかし、日本には、雇用の量の問題はない。あるのは非正規労働者への差別的待遇だ。したがって、第一に考えるべきは、いかに社会保険の適用拡大を図…
2016年は、日本がデフレ経済に転落してから20年目にあたる。この間、同じ失敗を繰り返してきた。金融緩和による円安での緩やかな回復、緊縮財政による好循環の阻害、そうこうするうちに、円高へ弾けて成長が失速し、更なる金融緩和を求めるというパターンで…
2020年7月、クミコは、オリンピックの女子バレーボールの会場へと急いでいた。女手一つだから、生活は楽ではない。それでも、選手を夢見る高校生の娘を連れて行けるだけの小さな余裕は持てるようになった。5年前、パート掛け持ちで疲れ果てていた頃なら、と…
盛山和夫先生の新著『社会保障が経済を強くする』は、なかなか意欲的なタイトルである。社会保障は単なる消費でなく、自由な経済活動に潜む不合理を正し、効率をもたらすという見方ならば、筆者も賛成だ。ただ、想いは正しくとも、今の世の中には、なかなか…
「消費増税を見送ったら、国債金利が急騰し、財政が破綻してしまう」と脅されたら、マイナス成長を覚悟で、消費増税も仕方がないという気分になる。しかし、金利が心配なら、消費増税でなく、金融資産に課税すべきではないのか。国債のほとんどは国内で消化…
はじめに 1964年の東京オリンピックは高度成長を象徴するものとして知られるが、戦後、開催地に初めて立候補したのは1954年であり、高度成長が始まる以前のことであった。戦災からの復興を世界に示すというものではあっても、成長ぶりを誇ろうとするものでは…
公的債務累増下の成長戦略 ―21世紀の日本に未来は開けるか― 「日本よ、雪白の翼を再び」 はじめに ちょっと日本人がかわいそうになってね。努力家で誠実なのに、こうも経済の低迷で苦しまねばならないのか。お題からすると、「消費増税と法人減税の組み合わ…