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経済政策と社会保障を考えるブログ

サナエノミクス・景気の悪化とチグハグな政策

 株高、円安でスタートしたサナエノミクスだが、売上は落ちるし、輸出は減るしで、散々な状況だ。11/17に公表される7-9月期GDPは、6四半期ぶりのマイナス成長が予想され、景気は悪化している。目指すべきは、売上の拡大を図りつつ、物価を落ち着かせることだ。それには、可処分所得を増やし、円安を是正する必要がある。サナエノミクスの経済政策は、これからスタートするにせよ、不十分さが感じられる。

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 9月の商業動態・小売業は前月比+0.3だったが、7,8月の落ち込みが響いて7-9月期は-1.9と大きな低下となった。前期のほぼ横ばいから今期は低下へと転じた。CPIの財の物価上昇は前期比+0.5と緩んでいるのに、着いて行けなくなっている。飲食料品の推移が典型で、前期-0.2、今期-0.8である。また、今期、燃料が前期比-6.2と低下したのは仕方がないにしても、自動車も-3.8に落ちており、輸出に加え、内需もこれでは苦しい。

 消費は、日銀・消費活動指数の7,8月平均が旅行収支調整済の名目で前期比-0.2、実質で-0.5となっており、家計調査を加味した統計局・CTIマクロの7,8月平均が名目+0.1、実質+0.4であるものの、7-9月期には、マイナスもあり得るところだ。特に、名目の2期連続での減速が痛い。消費を増やすには、可処分所得を増やすか、物価を下げるかだから、昨年やった定額減税がなかったことが恨めしく思える。

 鉱工業生産は、9月の前月比が+2.2で、7-9月期の前期比が-0.1の着地となった。出荷は-1.5と更に悪い。まずいのは、設備投資の動向を示す資本財(除く輸送機械)出荷が-4.1にもなったことだ。前期は+4.2だったから、良く言っても低迷である。建設財出荷は、前期比-3.6であり、2期連続の大きな低下で重症だ。企業の建設投資は好調だったようだが、住宅の落ち込みが深刻である。

 9月の労働力調査では、就業者が前月比+24万人、雇用者が+11万人だったものの、7-9月期の前期比は+1万人、+5万人に終わった。特に男性の低下が効いている。雇用は、4-6月期に大きく減速し、7-9月期も停滞が続いている。新規求人倍率も、4-6月期に低下し、7-9月期もジリジリ下がっている。相変わらず人手不足が言われていても、雇用の面でも景気は減速していると見るほかない。

(図)

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 円安は、日銀の利上げが奏功して春までに一服し、物価高が緩んできたのに、前年の定額減税の剥落で、消費は抑えられることになった。次いで、日銀がトランプ関税で弱気になり、利上げを見送るようになって、円安がぶり返してしまった。年末には所得減税が待っているものの、政策はチグハグで、可処分所得を着実に増やし、円安是正で物価高を抑えるという一貫した政策が採られていない。サナエノミクスでは、ガソリンの定額減税の廃止と教育無償化を進めるが、定額減税よりも低所得層への再分配は薄くなる。また、円安是正の気概も見られない。サナエノミクスは、必要な方向へ徹底されていないように思われる。


(今日までの日経)
 ガソリン旧暫定税率を12月末廃止。私立高就学に最大45.7万円。トヨタ系8社、米関税費用「九十数%回収できる」。教育無償化に8000億円超も。企業向け政策減税、省庁が改廃巡り論戦。FRB、2会合連続で0.25%利下げ。