経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるブログ

緊縮速報・行き過ぎた緊縮財政への対処

 積極財政派も、財政再建派も、とにかく、実態を見ずに印象だけで主張する。精神論ばかりで現実味に欠けるのが、この国の特徴だ。そもそも、合理性にかんがみれば、日本の財政の選択の余地は限られるので、実態を見ていたら、議論にもならない。経済は、政策で良くするのは難しいが、悪くするのは際限がない。選挙での減税競争を見るにつけ、停滞から破綻へと「日本化」から「南米化」するのかなと思ったりもする。

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 1/23に中長期の経済財政の冬の試算が出たので、その図を見れば分かるように、アベノミクスとコロナ後は、急速に財政赤字が改善しているから、高市首相が「行き過ぎた緊縮財政を変える」と言うのは、アベノミクスの否定になるにせよ、間違っているとまでは言えない。しかし、変える先が消費減税というのは、安倍首相が苦労して築いた財政と社会保障の土台をも壊すことになってしまう。

 現下の財政の課題は、インフレで地方や社保を含めて自然増収が大きくなっているので、締まり過ぎないよう、緩く還元することと、大規模化した補正予算を徐々に縮小していくことだけだ。いわば、緊縮財政の緩和である。基礎収支の黒字化にメドがついた以上、更なる緊縮は無用だし、消費減税をして過去に戻るのは、同じ苦労を繰り返すことになる。競うべきは、優れた還元策である。

 冬の試算を分析すると、税収は、名目成長率で伸ばすのを原則としながら、国+2.5兆円、地方-1.1兆円の増減税が組み込まれている。その結果が2028年度の8.1兆円の黒字である。したがって、論点は、これをどこまで減らすかである。金利上昇を踏まえ、一定の黒字を確保すべきという主張はリーズナブルだし、黒字の縮小で、社会保険料を軽減し、供給力の増強に資するのは、賢い選択だろう。ここでも消費減税は、金利上昇を刺激し、還元策を小さくする愚策と位置づけられる。

(図)

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 与党が勝利して、消費減税を検討すれば、愚策だから社会保険料の軽減に代えようとなるのが合理的な流れだろう。そうなっても、国民は、公約違反をなじるより、歓迎するのではないか。負担が軽減されれば良いのであって、難しい経済政策なんて分からない。むしろ、本当に消費減税をやって、便乗値上げや需給変動にさらされたら、こんなものは求めていなかったと怒るのではないか。とは言え、ここまでポピュリズムが蔓延すると、実態を見ない伝統が禍し、合理的に流れないのではと、心配ではある。


(今日までの日経)
 「外為特会、運用ホクホク」首相、円安の利点強調。衆院選「財政の全体像語れ」居松氏。最後の砦は「労協」。中国 半導体装置を国産化。ダイナミックオントロジー・中山淳史。日本の長期金利「ほぼ適正」・ピムコ。減税選挙が映し出す現実。