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経済政策と社会保障を考えるブログ

専業主婦という無収入者の年金問題

 国民会議では、負担と給付のそもそも論のような説明が事務方からなされているが、事の本質である日本の社会保険料に課税最低限がないことは慎重に避けられている。社会保険料が軽減の対象になると世間に知れたら、減税ポピュリズムで、どんな酷い扱いになるかも知れないから、分からないでもない。ただ、会議メンバーには理解してもらわないと、的外れな制度設計になってしまう。

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 「専業主婦は保険料を払わないのに年金をもらえるのはズルい、それで就業が抑制されるのはマズい」というのは、よくある批判だ。実は、この問題は、社会保険料に課税最低限がないために生じている。専業主婦を優遇するとかしないとかの問題ではない。専業主婦は、個人単位で見れば、無収入者である。夫が養っているにせよ、収入は世帯単位でしか生じていない。無収入者の扱いの問題なのである。

 他方、一般的な無収入者の国民年金は、保険料が全免になり、給付は半分になる。半分出るのは、その部分は税で賄われているからだ。専業主婦も半分の給付なら、公平ということになる。さて、給付つき税額控除によって、全免分の保険料の相当額が肩代わりされるようになると、無収入者の給付は全額になり、専業主婦と同じになる。専業主婦はズルいものではなくなり、個人単位で無収入なら、誰もが平等な扱いになるわけである。

 給付つき税額控除は、給付額/税率の課税最低限を設けるのと同じであり、その額を超える部分に保険料率を掛けたものが保険料額になる。すなわち、課税最低限を超えたところから徐々に保険料が増していく形に変わるため、年収の「壁」は撤去され、就業が抑制されることもなくなる。こうして見れば、専業主婦年金に国民的議論など無用で、低所得者への給付つき控除の額をどこまで手厚くできるかの話でしかないことが分ろう。

 ついでに言っておくと、消費増税を財源とした「年金生活者支援給付金」という、基礎年金が全額に届かない人に5千円超を追加給付する制度が既にある。給付つき税額控除で保険料を肩代わりすると、将来、この制度の対象者を減らすことにもなり、代わりに最低限の年金を保障するものになると位置づけられる。給付つき税額控除の財源は、多少はここにもあると言えるだろう。

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 財務省は金利上昇時の利払い費を試算したようだが、並行して、利子課税分の税収がどれだけ増えるかや、保有する国債からの利払いを受ける日銀からの納付金の動向も試算しないと、財政管理には役立たない。日銀の納付金は、給付つき税額控除の財源の有力候補でもある。社会保険料の課税最低限と同様、制度設計のカギなのに、聞かれないから説明しないというのは、よろしくない。

(図)

 

(今日までの日経)
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