食品1%の消費減税をすかさず敢行し、時間をかけて給付制度を一から創るみたいだね。国民会議の中間とりまとめは、矛盾するものを含んだりと、制度の全体像は曖昧だが、目的を「年収の壁などによる働き控えを緩和すること」と定めたのは重要な到達点だ。なぜなら、部分的にせよ、制度と規模が確定するからである。たぶん、取りまとめた人たちも分かっていないだろうけど。
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「年収の壁」の撤去は、社会保険料に課税最低限を設けるのが唯一無二の方法になる。厚年健保で必要な財源は、たったの0.3兆円だ。低所得者の保険料を下げるだけなので、制度構築は不要で、来春にはできる。消費減税を1%にして小さくする代わり、給付つき税額控除の一部として、先行実施したら良い。保険料軽減に恐怖を覚える厚労官僚と社会保険への税投入を忌避する財務官僚は提案して来ないのだから、政治が見抜かないといけない。
社会保険料に課税最低限を設けるとは、年収106万円を超えた部分にのみ保険料率を掛けるということである。今は、106万円を超えた途端に根っこから掛けるので、いきなり多額の保険料を取られる「年収の壁」が生じている。どのくらいの軽減が必要かは、図のとおりで、年収106万円から130万円は本人負担分がゼロになるよう軽減し、130万円超からは徐々に軽減を少なくして保険料を増やし、192万円で軽減が終わって本来の保険料となる。
0.3兆円しかかからないのは、現状で軽減の年収階層にいる人は少ないからである。国年国保の雇用者やパートの専業主婦が厚年健保に移って来て、勤労者皆保険に至れば、1兆円強に膨らむものの、その財源は、膨らむにつれて確保すれば良い。また、インフレが進めば、対象の所得階層の人は徐々に減る。
しかも、厚年は、適用拡大で年金の給付水準が上昇するので、軽減分を税で補填する必要がなくなる可能性もある。健保も、専業主婦の加入では、被扶養者として保険料を払わずに医療を受けていたから、改めて軽減分を補填する必要がない。加えて事業者負担分は新たに入ってくるわけで、財源が不要な部分が相当ある。
ところで、国年国保には課税最低限を設ける必要はないのか。実は、低所得者の保険料を軽減する制度は既にある。年収130万円位なら保険料は半額だ。それで国保のサービスは半分になったりしないが、国年は給付が減額されるので、厚年の軽減制度が導入されたら、バランス上、減額をやめるなどの必要がある。
(図)

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「貧乏人から税を絞ってはならない」というのは、経済政策の鉄則だ。ナショナルミニマムに食い込むために、非正規や少子化などの不合理が生じるからだ。厚年健保に課税最低限がないのは、貧乏人の相手は国年国保がしていたからである。しかし、厚年健保に包摂しなければならない時代になり、課税最低限の欠如は、諸悪の根源と化して、不可避の課題になっている。給付つき税額控除とは、負担がナショナルミニマムに食い込まないようにする工夫であり、給付でなく軽減だったり、一律の控除でなかったりしても、機能が同じなら、それと位置づけられる。間違っても、年収に応じてカネをバラ撒く制度だと思ってはならない。
(今日までの日経)
補正予算総額3兆円で調整。食品消費税、1%かゼロか来月にも判断。年収の壁上げ、なお働き控え。上場企業、前期最終13%増。機械受注「官公需」5年で7割増。ウォール街が恐れる日本発の債券安ドミノ。現金給付は所得で線引き、「年収の壁」への対応念頭。
※4/19の専業主婦の年金問題には、長らく星をいただいている。政治の無知と官僚の沈黙で不合理に苦しむ人が多いのだと思う。貧者のために打破すべく書き続けるつもりだ。