経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるブログ

社会保障

社会保障を支えるニッポンの移民

「移民は嫌だ」という国民感情は、困窮や搾取のイメージがあるからだろう。しかし、実態は異なり、「国際雇用民」である。従って、福祉を受けるよりも保険料を負担してニッポンの社会保障を支えている。昨年の出生数は3.8万人も減り、公的年金の将来を揺るが…

不格好でも実用重視の制度設計

8月のCTIマクロは、実質で前月比+0.2とまずまずだった。商業動態の落ち込みで危ぶんでいたが、物価高の緩和に伴う変動かもしれない。CTIミクロで実質の費目別の推移を見ると、食料の低下が目立ち、インフレでの生活の苦しさが表れている。必要なのは、食料消…

地滑り少子化の行く末

2024年の合計特殊出生率は1.15人で、2018年の1.42人から、わずか6年で2割減という地滑り的な少子化が進んでおり、未だ奈落に届いていない。出生率の低下は世界的なもので、結婚と出産がコロナ禍とその後のインフレにいかに脆弱だったかを示しており、やはり…

働かざる者は産むべからずなのか

出生の急低下を受けて、日経は「出産・結婚を阻む壁を早急に取り除け」という社説を掲げ、結婚と就業を両立できるようにせよと主張しているが、実は、こうした価値観の押し付けが少子化を進めているとも言える。出生動向基本調査を見れば、「働かずに産みた…

公的年金を巡る愚かな批判

今年は、5年に一度の公的年金の改正で、ネット上では損得論が盛り上がっているが、厚労省の方針は改革というよりメインテナンスであって、正直、淡々と進めれば良いものだ。批判は、「俺のカネに手をつけるな」の発想に過ぎず、長生きのリスクへの代償である…

「年収の壁」を除くとは、こういうこと

「年収の壁」を除くには、給付つき税額控除を導入するしかないので、早いところ、そこに行き着いてほしい。所得税の所得控除を上げるのでは全然ダメで、迷走してる場合じゃない。税収を減らす話に、財務省はだんまりなのだから、政治や新聞などの民間が知恵…

2024年 年金財政検証・超少子化による打撃はこれから

今回の財政検証は、前回よりやや改善するという結果だった。前提となる将来人口推計の出生が大きく下がっておらず、外国人の移入が見込めるという内容から、今回の結果は、ある程度、見えていた。年金財政は人口次第なのだ。その点、問題は、経済前提が過去3…

出生崩壊と野垂れ死にの予約

出生率が1.45人くらいだったら、子供のない人の老後を支えることは何とかなるが、1.15人まで落ちたら、モームリじゃないかと思う。支える子世代は、親世代の55%しかおらず、過剰負担は、倍増してしまうからだ。そうなると、子供のない人は、働けなくなったら…

「司令塔を作れ」という病

重大な問題に対処するのに、司令塔を作ることは大切だが、それだけで、司令塔が必要な施策を立案して解決してくれるわけではない。必要な施策を特定し、広く支持を集めることがカギになる。「人口戦略会議」が若者世代への支援推進や人口戦略を扱う司令塔機…

流れゆく少子化反転のラストチャンス

岸田首相は、「若年人口が急減する2030年代に入るまでが、少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンス」とし、3.5兆円の新たな少子化対策を取りまとめたが、足下では、激しい少子化が止まらない。目玉の児童手当は、来年12月に給付だから、効果は先なの…

少子化対策、何ができるか

日経の3回に渡る少子化対策についての経済教室に、3人の学識者が寄稿したが、いずれも、若い女性の所得と雇用の安定を上げている。就活になぞらえて、婚活と言われるように、女性にとっては、結婚・出産の選択が経済的安定につながらないと、少子化を緩和す…

公的年金の負担と給付の公平性

「専業主婦は保険料を払わずに年金がもらえてズルい」という議論は昔からある。これに対して、年金官僚は、夫婦共働きで300万円ずつの世帯と夫だけで600万円の世帯を比較し、負担も給付も同じだから、公平性に問題はないと説明してきた。公平性は、見方によ…

「壁」問題の本質

「106、130万円の壁」が現れるのは、社会保険料は一律の賦課をしていて、専業主婦が年収106万円を超えたら、いきなり、賦課対象になるからだ。その本質は、低所得にも一律に賦課している無理さかげんがある。30%の賦課は図の青線で、100万円のところの縦棒が…

「壁」問題と一律賦課の無理さかげん

「106、130万円の壁」について、社保審年金部会の議論が始まったが、説明資料を眺めると、あまりやる気を感じられないね。浮かんでくるストーリーは、「対象の人は限られるし、損得での誤解もあるし、制度を変えようとすると、公平性などで難しい問題が出て…

年収の壁の本質は低所得者の過重な負担

専業主婦がパートを増やすと、いきなり社会保険料がかかり、手取りが減って「損」をする問題がある。お役所は、将来、年金で還ってくるから、損ではないとするが、目先のカネが切実な庶民の実状を分かっていない。保険料の免除を人件費削減に使ってきた事業…

戦う前から負けが決まっているような少子化対策

2022年の合計特殊出生率が過去最低の1.26になったことについて、官房長官は、静かなる有事だとしたようだ。有事の割には、勝つ戦略の立案より、財源をどうするかが焦点になっているのは、情けない状況だ。少子化対策において、足りないのは財源ではない、理…

少子化対策に負担増は必要ない

少子化対策のたたき台が公表されたが、財源を巡って迷走しそうな雲行きである。そして、今回も、乳幼児期の支援という肝心な部分が後回しにされそうで、この国は、また失敗するのではないかと心配だ。どうして、こうなるのかね。要するに、少子化対策の意味…

無意味な児童手当に狂奔するなかれ

少子化対策で児童手当が焦点になり、財源論が喧しくなっているが、皆、何か勘違いしているのではないか。理屈から言えば、既に生まれている子供への手当増は、ほとんど意味がない。例えば、来年、高校生に児童手当を与えるようにしても、来年、高校生の人口…

財源は子供の減少で出てくる

11月の人口動態速報の出生は、前年同月比-6.7%と減少幅を拡げる形となり、2022年の合計特殊出生率は、過去最低の1.26人のレベルに至った。1.25人まであとわずかであり、12月の結果次第では、記録更新となる可能性もある。極めて深刻な状況であり、早く少子化…

少子化対策の財源の信の問い方

少子化対策は、児童手当の増額が急浮上して、おかしな雲行きとなってきた。少子化対策はメッセージが大切で、「育児休業給付の普遍化で乳幼児期の生活不安は解消される」、「高校までの学校教育費は社会が持つから心配ない」といった具体性がいる。子育ての…

少子化対策のための子育ての負担論

少子化を緩和するには、「これなら子供を持てる」というように、認識を変えてもらわなければならない。それには、施策の意味付けが重要になる。単に児童手当を増やすといったやり方では、「ありがたいけれど、確信が持てない」という反応になり、せっかくの…

子育て負担の明確化と給付の意味付け

行動を変えるには、認識を変える必要がある。少子化対策をするのは良いが、戦力の逐次投入をするのではなく、戦略性を持って行うべきだ。例えば、非正規への育児休業給付を実現すれば、出産しても生活費の心配はないという認識が作られ、結婚ができるという…

呪われた未来は、君達がその手で

9月の人口動態速報は、出生が前年同月比-3.9%となり、これで、1-9月期の前年同期比は-4.9%となった。合計特殊出生率なら1.27人くらいになる水準で、過去最低の1.26の一歩手前まできた。本当にマズいよ、これは。次回の公的年金の財政見通しでは、人口推計の…

少子化に打つ手・育児休業給付の試算

非正規の女性は、育児休業給付を受けられない。なぜなら、育児休業給付は、出産支援ではなく、出産退職の防止を目的とするからだ。そのため、結婚・出産は、収入が途絶する中ですることを覚悟しなければならない。おまけに、非正規は保育を受けるのも困難だ…

目先の対策に追われ、深刻化する人口減少

2021年10月の推計人口は前年より64万人も減り、前年の41万人減から一気に加速した。鳥取、島根、高知の3県は人口60万人台なので、とうとう、毎年、県が一つずつ消えるレベルの人口減少が始まった。この事態は、かねてから予測されていたもので、そうならない…

巨額経済対策のリアリズム

財務次官が「巨額経済対策は必要か」と述べて話題となっているけれど、結論から言うと、数十兆規模の経済対策は必要ない。それが本当に需要になるなら。もし、GDPの4~5%もの需要が一気に追加されたりすると、供給が追いつかなくて、経済は混乱をきたしかね…

年金・改革主義の亡霊

自民党総裁選は、9/29の選出を目指し、政策論議がたけなわだが、年金が論点になるとは思わなかった。しかも、一昔前に葬られた税方式と積立方式を組合せた改革案の復活とはね。理屈としてはスッキリしていても、少子化が年金財政に与える問題の本質を外した…

政治が合理主義でなくなったとき

政治学の理論は、現実を的確に要約し、将来の見通しをつけるのに有用だ。宮本太郎先生の『貧困・介護・育児の政治』は、社会保障が拡充される過程を、「例外状況の社会民主主義」、「磁力としての新自由主義」、「日常的現実の保守主義」の三つの主張のせめ…

続少子化論・結婚をあきらめさせる社会とは

2030年には男性の3割、女性の2割が非婚となる。その背景には、未婚男性が妻により仕事も家事も求め、未婚女性も男性に学歴・職業・経済力を求める傾向が高まっており、強い結婚意欲を持つ未婚者は減る傾向に変化してきたことがある。結婚へのハードルが高ま…

日本のセーフティネット格差の未来

「雇用が不安定な者ほどセーフティーネットも脆弱」を指摘するのが酒井正先生の『日本のセーフティネット格差』である。この問題を扱った本が日経・経済図書文化賞に選ばれたことは、長年、それを解決すべく具体策を提案してきた本コラムとしても、大変、喜…