経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるブログ

貧しくも金持ちになった2024年

 12月のCTIマクロが公表され、名目は前月比+0.4と、思ったより高かった。これで実質の10-12月期の前期比は-0.0で持ちこたえることになる。いまの景気の局面では、名目であろうと、消費が着実に伸びることが重要なので、とりあえず、ほっとした。総雇用者所得も、実質の前期比が+0.4と消費を支えている。あとは、金融政策で円安を是正し、物価高を抑え、実質の消費を伸ばせるかである。

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 世間的には、家計調査でのエンゲル係数の高まりが話題だ。食料品の物価高による生活苦の実感に合うからだろう。エンゲル係数は貧しさの指標とされるので、日本は貧しくなったと嘆く材料の一つになっている。他方、家計調査は、収支差の拡大、すなわち、貯蓄の増大も示している。家計調査の結果は、貧富のある個々の家計の集積でもあり、貧しくなりつつ、金持ちにもなっていることを表しているのだ。

 家計調査における非食料消費の安定は、異次元緩和前は法則とも言えるものだった。所得が増えれば消費は増えるし、消費が増えなければ所得が減るというマクロ経済のメカニズムによるものである。それ以外の割合を、1974年までは貯蓄、1983年までは税保険料、1998年までは貯蓄、2014年までは税保険料が増やしてきた。そして、2014年以降は、非食料消費の割合を貯蓄が奪う形に変化した。

 消費が増えないのに収入が増えるという、ある意味、経済原理に反する現象が起こったのは、輸出と円安による。消費が増えなくても、輸出での売上があれば、賃金は払える。輸出に必要な円安は、物価高で消費の抑制もする。こうして、貯蓄率(=投資率)の拡大という経済で最も重要な構造が変動したわけであり、コロナを経た2024年も、延長上にあることが確かめられた。もっとも、そうして得られた成長は限定的だったのだが。 

(図) 


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 2024年は、年単位では貯蓄率が上がっているけれども、月次で見ると、家計調査の消費性向は6月まで大きく下がって、その後はすっかり戻している。より多く消費してもらうには、円安是正で物価高を収め、緊縮財政をやらないで手取を増やすことである。こういう基本的で、ごく当たり前の政策調整が何だかんだで紆余曲折して上手く行っていないというのが、この国の真の貧困さである。


(今日までの日経)
 製造業、増益に転換 AI・インフラ好調。円上昇、米関税の逃避先に。消費、食料高が重荷 エンゲル係数43年ぶり高水準。米貿易赤字17年比1.5倍、中国以外から迂回輸入。