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所得控除の引き上げは123万円でひと区切りとなったが、これだと1兆円規模の減税にとどまる。2024年度の定額減税が3.2兆円だったから、財源的にも、このあたりまでは行くかと思っていた。残り2兆円分を使って、本予算採決までに決着をつける腹だろう。それは、減税でなく、教育無償化になるかも知れない。どちらにしても、少数与党が本予算を通すための戦法としては、よく分かる筋書である。
しかし、考えるべきは、その先の参院選だ。手取増・壁除去で国民党が総選挙に勝利した教訓から、各党は現実味のある負担減の政策競争になる。自民党も無策では、またやられるだけだ。サッカーではないが、少なくとも相手の良さを消す戦法が必要になる。例えば、所得控除で壁除去は無理と刺しつつ、1.1兆円の給付つき税額控除で完全撤廃するとか、無償化は東京や大阪ではできているから、地方創生臨時交付金を複数年で約束して実現するとかである。まあ、目先のことで手一杯かな。役所も助けてくれないしね。
2024年度予算は、補正後の前年度比で1.1兆円の緊縮になり、減税がこのままだと、2.2兆円の緊縮である。2025年度は、本予算の歳出が1兆円伸びても、税収は+2.7兆円が見込まれるから、合わせて5兆円程の緊縮になる。また、地方は、その6掛けの税収増だ。さらに、厚生年金の支給開始年齢が65歳に引き上げられる年なので、社会保障の緊縮もきつい。本来は、こうした緊縮の規模を踏まえつつ、どのくらい緩和するかを考えるべきなのである。
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今週、日銀は利上げを見送り、円安にしたけれども、何がしたいのか分からない。円安に誘導して年明けのトランプ就任後の急激な円高に備えるつもりなのか。12月は利上げが順調に織り込まれ、市場が荒れる状況でもなかった。今は、坦々と利上げを進め、緩やかな円高に持って行くべき局面であり、日米の金融政策の逆の方向性を薄めることで備えておくのが適当だ。是非はともかく、逆方向だと何かと変動が起きる。
金融政策では、物価を操作できず、黒田日銀の異次元緩和は、その点では無意味だったが、狙いどおりに円高を是正できた。そうした無意味な緩和に、植田日銀が拘り、円安の是正ができないなら、黒田日銀と変わらないどころか、得るものもないことになる。しょせん、金融政策はドル円くらいしか動かせないと割り切り、どのくらい緩和するかを考えるべきなのである。
(今日までの日経)
インフレが動かす課税最低限。緩まぬ円売り圧力。日銀総裁、利上げ材料「もう一段必要」。訪日客最多19年通年上回る。日本の1人当たりGDP、韓国と台湾を下回る。ホンダ・日産統合へ。